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経済政策学科

【CSL/DMP】長崎の漁業と輸出を学ぶ/長崎県庁でのヒアリング

  • 2024.01.6
  • 経済政策学科

 長崎県は水産業がとても盛ん。
 アジやサバ、ブリやタイ。そしてフグ、カキ。
 県内では四季折々、いつでも新鮮な魚介類が食べられます。
 これらの魚介類は、どこの漁師さんたちが獲っているのでしょうか? 
 長崎県のほかには、どの地域の人たちが食べているのでしょうか?
 学生たちが、アハメド先生、吉田先生とともにヒアリングしました。

 

   12月15日(金)に訪ねたのは、長崎駅の近くにある長崎県の県庁 (けんちょう) です。
   水産加工流通課 (すいさん かこう りゅうつう か) の係長である吉田さんと、主任技師の畑島さんに面会しました。
 同課は県内・県外だけではなく国外への流通 (りゅうつう) にも詳しい部署 (ぶしょ)
 長崎県水産物輸出連絡会 (ながさきけん すいさんぶつ ゆしゅつ れんらくかい) の事務局を担っています。
そのお二人から、事前にお送りした質問の内容についてお聞きしました。

 学生たちはこの一か月、各市町村の漁獲量 (ぎょかくりょう) について調べています。
 その中でとくに目を引いたのが、2018年の統計データでした (*1)
 これを見ると、最も多いのは佐世保市の約9万トン、平戸市の約7万トン。
 これに次ぐ新上五島町 (しん かみごとう ちょう) も、約5万トンの漁獲量があります。

 新上五島町は1万7千人程度の小さな島嶼 (とうしょ) 地域です。
 それだけの人口でこんなに多くの魚や貝を食べるのか。そうではありませんよね。
 この点を手がかりに、漁業の仕組みを教わります。

 学生:  なぜ新上五島町にはこれだけの漁獲量があるのでしょうか?
 吉田さん:この地域は大きな漁船による「巻き網」 (まきあみ) 漁業が盛んなのです。
 学生:  どんな魚が獲れるのでしょうか?
 吉田さん:アジ、サバ、イワシといった魚が一度に獲れます。
 学生:  獲れた魚は、新上五島町に水揚げ (みずあげ) するのですか?
 吉田さん:それはごく一部に限られます。大部分の漁獲物は、別の地域に持ち込まれます。
 学生:  生きた魚のまま港 (みなと) まで運ぶのですか?
 吉田さん:アジヤサバを大量に活魚 (かつぎょ) のまま運ぶのは難しいため、
______船の中で保冷して鮮魚 (せんぎょ) として運んでいます。

 学生:  遠くの港にも持ち込むのですか?
 吉田さん:東シナ海や日本海などで操業することが多いため、魚が獲れた近くの港で水揚げします。
 学生:  たとえばどんなところでしょうか?
 吉田さん:長崎県の松浦や、福岡県の福岡、鳥取県の境港 (さかい みなと) など、様々です。

 広い海のあちこちで漁業を営んでいるのですね。
 様々な地域に漁獲物を供給していることも分かってきました。

 

 港に持ちこまれたあと、これらの魚や貝はどこに行くのでしょう。
 長崎県産の魚介類は、国内だけで出回っているわけではありません。
 そこで、話題は輸出のルートに及びます。

 学生:  直接、漁業者が輸出をおこなう場合もあるのでしょうか?
 畑島さん:長崎の漁業者は、市場 (しじょう) などで売るところまでが基本です。
 学生:  それでは、誰が輸出をおこなうのでしょうか?
 畑島さん:市場などで仕入れた (しいれた) 事業者が輸出すると聞きます。
 学生:  加工してから輸出するのでしょうか?
 畑島さん:鮮魚、冷凍や加工品などで輸出されます。
 学生:  海外の国では、長崎の魚をどう食べているのでしょうか?
 畑島さん:それは調べていませんが、国や地域の食事に合わせて使われるようです。
 学生:  2021年は42億円の輸出額があったといいます。2022年はどのくらいでしょうか?
 畑島さん:長崎県内の事業者にヒアリングした結果では、71億円の輸出額が判明しています。
 学生:  どういった要因が輸出の増大を生んでいるのでしょうか?
 畑島さん:一概には言えませんが、3割を占める中国向けの部分も増えていました。

 このように、県産の水産物が世界に広がっているのは輸出事業者のおかげだそうです。
 県庁の調べによって、輸出の規模が大きく伸びていることも判明しているのですね。
 最近の一年で42億円から71億円へと増えたことは、とても驚きです。

 最近の情勢を受けて、県産の水産物の輸出に影響が出ていると言われています。
 一方、県庁では水産物の輸出に対して色々と支援策を用意しているそうです。
 それらの政策が、長崎の漁業をいっそう盛り立ててくれることでしょう。

 

 今回、お二人は様々な調査資料や公開資料をもとに回答を準備くださいました。
 授業のためのヒアリングであることから、学生たちは大まかな仕組みを学んだにとどまります。

 今後、本格的に勉強していく際はこれらの様々な資料を読み解く必要がありそうです。
 そのための「入り口」となる情報提供をしてくださったお二人に感謝いたします。

 鎮西学院大学の〝CSL(シー エス エル、コミュニティ サービス ラーニング=) では「食を通じた地域活性化」に取り組んでいます(担当:アハメド先生)。
 先々月も、農水産物の輸出に関する勉強を行ったところです (以前の記事を参照) 。
 今回の参加者は大部分このメンバーだったため、輸出に関するお話しからはたくさんのことを学びました。
 一方、本学では、仕事と暮らしの〝DMP(ディー エム ピー、デ-タ マネジメント プラットフォーム) に関する勉強会を開いています(担当:吉田先生)。
 今回、漁業関連の統計データについて学べたことは大きな成果となりました。
 HPでは今後も様々なプロジェクトを紹介していきます。

 

 *1 農林水産省、2018年「農林水産関係市町村別統計」(同年調査の海面漁業生産統計調査にもとづく)

 

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