2023年度をもって本学現代社会学部社会福祉学科を退官される平田勝政先生の最終講義が、「特別支援教育史」の授業の中で開催されました。
講義の前半部分は、平田先生の50年に及ぶこれまでの研究者としての歩みについてお話を頂きました。大学時代から一貫して障害児や障害者を取り巻く問題や社会のあり方に関心を持ち続けてこられたこと、特に「裾野」にこそ真実があり、「裾野」から中央へ発信することの大切さを強調される中で、障害児・者等を取り巻く過酷な生活史と社会的背景、そしてそれらを乗り越えようとする人々の実践や思想の意義を考察する重要性について、平田先生の温かな人柄とともに、学生たちは感銘を受けていました。
講義の後半部分では、「日本の優生学と障害者の人権-糸賀一雄の福祉思想の歴史的意義-」をテーマに、西洋からもたらされた優生学が日本社会の中でどのように認識され、障害者の生活や人権に影響をもたらしたのか、そしてそうした状況に対峙する中で、糸賀一雄が提唱した福祉の思想の意義や「発達保障」概念の再評価とともに、糸賀が断種等による優生思想の批判者であった事実について、丁寧に解説して頂きました。
時代や社会、教育を通して人々の生きるまなざしは形成されること、社会のために人々が分断されるのではなく、社会の中に人々のつながりをつくる大切さを学ぶ中で、学生の感想として「批判的な目を持つことや考え続けることは大切」、「次の世代へつなげていくとても大切な講義」という感想が寄せられました。
講義終了後は、平田先生が立ち上げられた特別支援教育コースの学びの中で育ち、今春から長崎県の特別支援教員として教壇に立つ4年生より激励と感謝の花束が贈呈されました。平田先生の今後のご健勝とご多幸を心よりお祈りいたします。本当にありがとうございました。