長崎県は農林水産業がとても盛んなことで有名です。
スーパーにも食卓にも、新鮮な食品があふれていますね。
それでは、これらの食品の輸出も盛んであることはご存知でしょうか?
それを支えているのはどんなビジネス活動でしょうか?
ジェトロの中島氏を招き、貿易のあり方を教わりました。
写真1:JETRO中島さんのお話し
今回紹介するのは「食による地域活性化」に関する「CSL」 (コミュニティ サービス ラーニング) の授業。
授業を担当するのは経済政策学科のジュナエド・ウッディン・アハメド先生。
今回10月13日(金) は「日本貿易振興機構」(JETRO/ジェトロ)の中島伸浩さんを招き、お話を聞きました。
ジェトロは日本企業による貿易を後押しする組織。長崎には、「長崎貿易情報センター」を設けています。
同センターの所長を務めているのが、今回お越しいただいた中島伸浩さんです。
お話のテーマは「農林水産・食品輸出とジェトロ事業」。全国および長崎県における《食品輸出》のトレンドとアプローチを教わりました。
コロナ禍が過ぎ経済活動が復活してきた中で、
そのようななか、2022年1~12月の日本の農林水産物・
輸出の品目で見ると、加工食品が圧倒的に多く、これに水産物も続くそうです。
輸出先として多いのは中国と香港、米国。円安もあり、
学生たちは、データの詰まった資料を見ながらお話を聞きました。
写真2:資料に目を通す学生
写真3:中島さんのお話
しかし、ここまでは話の入り口にすぎません。本題はこれからです。
はたして、このような輸出は誰がどうやっておこなっているのでしょうか?
今日の本題は、ビジネスの観点から輸出について解説することだったのです。学生たちも興味津々です。
最も興味深かったのは、「商流のパターン」というお話でした。これには、「直接輸出」と「間接輸出」があります。
「間接輸出」では、商品を国内の輸出業者に託します。この輸出業者の手を通ってはじめて、海外に渡るわけです。
海外との取引にともなうリスクは少ないですが、支払手数料のぶんだけコストは増えてしまいます。
そこで、今後は各企業が自ら海外のバイヤーに販売していくルートづくりが大事になりそうです。
中島さんによると、そのための知識と経験をたくわえていくことが中小企業の課題だということでした。
このように、ビジネスの観点から貿易について学んだ学生たち。
質問もいろいろと出てきました。とくに長崎に関する部分を紹介します。
——長崎からの食品輸出トップは?
水産物が多い。ブリ、アジ、サバ、
——長崎の加工食品メーカーの課題は?
輸出の実務経験不足が課題です。
このように、さまざまなお話を聞くことができました。
今後の勉強、そして社会人になってからの仕事に結びつく内容でした。
ジェトロの中島さん、このたびはありがとうございました。
写真4:商流のパターン
写真5:教室の様子
<参考:データの紹介>
全国で見ると、農林漁業と食品製造業は 18.5兆円程度の国内総生産 (*1)。これに対し、輸出額は 1.4兆円にのぼります (*2)。
長崎県で見ると、水産物の産出額は約936億円(*3)、農産物の産出額は約1551億円 (*4)。
長崎県からの輸出は、水産物が約42億円(*5)(産出額の約4.5%)、農産物が約6億円となっている(*6)(産出額の約0.4%)。
このように、水産物よりも農産物の方が産出額は高い。しかし、それに対する輸出額の割合は水産物の方が高くなっている(約4.5%>約0.4%)。
*1 2021年、「農業・食料関連産業の国内総生産」 (付加価値ベース)。農林水産省2023.04.20「令和3年農業・食料関連産業の経済計算(概算)」(同省「農業・食料関連産業の経済計算」 より)。
*2 2022年、農林水産物の輸出額は約1.34兆円(農林水産省 2023.04.07「農林水産物輸出入情報・概況」より)。少額貨物の輸出額は約o.77兆円(同省 2023.02.03「2022年の農林水産物・食品の輸出実績」について」より)。
*3 2021年「大海区都道府県別統計表(海面漁業・養殖業産出額)」(農林水産省、2023-06-19「漁業産出額」e-Statより)。
*4 2021年「農産物産出額の順位と構成割合」(農林水産省、2023.06.19「生産農業所得統計」e-Statより)。
*5 県水産物海外普及協議会調べ(2022)。長崎新聞 2022.06.22「長崎県産水産物 輸出42億円 過去最高、中国向け需要回復 2021年度」による。
*6 県農産物輸出協議会調べ(2022)。長崎新聞 2022.07.27「長崎県産 農産物輸出額 過去最高6億2000万円 イチゴ、鶏卵が好調 2021年度」による。
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