高校までは教科の一つとして英語を学び、単語や文法の知識を習得し、運用能力を高めますが、大学での学びはそれにとどまりません。基盤教育科目の一つである「英語のしくみ」では、英語を言語学的に捉えるとともに、英語が使用されている背景にも目を向けます。多文化コミュニケーション学科の教員4名によってオムニバス形式で開講される科目ですが、今年度はさらに2名のゲストスピーカーにも講義をしていただくことになっています。
ゲストスピーカーのお一人目は、ガーナ出身のホベヌ クワシ セニョ先生。“English: Your Way”というタイトルで、アフリカで使用される英語の特徴とコミュニケーションをキーとした英語使用について、ご自身の経験をふまえたお話をしてくださいました。
ガーナはじめ多くのアフリカの国では、公用語として英語を使用しています。ただし、それはイギリスやアメリカの英語と同じではありません。アフリカ独特の訛りがありますし、文法や表現方法にも特徴があります。たとえばナイジェリアでは、文末に同意を求める際に使う‘right?’の代わりに‘abi?’という現地語を使うそう。また、距離を尋ねるときに使う“How far?”は、ナイジェリアでは“How are you?”と同じ意味で使うそうです。アフリカの人たちは、英語と現地語をうまく混合させて、英語を使うときも自分たちらしさを表現しているようです。
ホベヌ先生は「いつかJapanese Englishと呼ばれる英語が一般的になればいい。それくらい日本人が日本人らしく、訛りや文法を気にせずに使える環境になればいい」とおっしゃいます。「今日の私の講義の中にも文法の誤りがたくさんあったと思うけど、それよりも私は伝えるということにフォーカスしました。コミュニケーションの場においては、小さなミスなんて気にしていられないよ」。講義の最後には質疑応答の時間も設けられ、ホベヌ先生の言葉に感化された学生たちから英語での質問が多く飛び交い、とても有意義な時間を過ごすことができました。
多文化コミュニケーション学科だけでなく社会福祉学科や経済政策学科の学生も受講するこの科目。引き続き、英語を広い視野で見つめていきたいと思います。