ABOUT
CHINZEI

大学の概要

 

学長メッセージMessage

INTERVIEW

Q.「地域貢献型のグローバルな人材育成」を目指す上で、どのような環境やカリキュラム、大学のサポートが重要だと考えていますか?

A.一言で言えば、“総合力”がカギになると思います。総合力とは、様々な専門 的スキルの総和ではなく、物事の本質を全体として把握するスキルを意味して います。そのためには知識の“チューニング能力”を養う必要があります。それ は、断片的な情報や知識をバラバラに存在するものとしてではなく、それらが 時間軸、空間軸で繋がり、縦横に往還していることを、ぼんやりとした姿であ れ、把握する能力を指しています。そのためには、専門分化した領域の垣根を またいで様々なパーツをチューニングし、何が見えてくるのか、絶えず積極的に 働きかけることが重要です。
そうした作業が苦にならないためには、教養が必要です。それは物知りとは 違います。何が知るに値し、何がそうでないのか。未知の事柄を解き明かすた めに、どんな情報や知識をチューニングすれば、未知を既知に転換できるの か。こうした総合化する力こそ教養であり、今回カリキュラム改革で特に力を入 れる「基盤教養教育」の部分です。それが、地域に密着した地域貢献型大学 のグローバル人材を輩出する土台になるでしょう。
結局グローバルとは、大小の伸縮自在な地域の総合にほかなりません。何かグ ローバルなものが実体として存在し、そして地域があるのではない。その意味 でローカルはグローバルに通じ、グローバルはローカルに通じています。ローカ ルな特色とかかわる個別的な知の形態と、より一般的な知の形態は繋がって いるのです。これが、総合力が必要な理由です。

Q.この度の学部改組におけるその背景と目的、さらには改組によって強化される部分は何でしょうか?

A.学部改組は変化が前提とされ、その変化に従来の学部編成や基本的なポリ シーでは対応できないために行われるものです。
わが鎮西学院大学は今から20年前、長崎ウェスレヤン大学として産声を上げ ました。現代社会学部の1学部、3学科編成の小規模大学として船出すること になったのです。現代社会学部の“現代”には、グローバル化に波乗りし、 ボーダーレスな情報やヒト、モノ、技術の相互交流のネットワークの中で、地域の 活性化を図るために福祉や経済、国際交流に取り組む人材を育成するという 思いが込められていました。
しかし、それから20年、新型コロナウイルスのパンデミックや超大国間の覇 権競争、世界の多極化など、20年前のグローバル化の限界とその変容が露に なりました。すると、地域の再生もバラ色のグローバル化と並行して進んでいく ことが困難に。しかも、この変化は一時的な逸脱ではなく、長期のトレンドにな る可能性があります。そうした不確実性を組み入れた知の新たな総合力の育 成が不可欠になったのです。
こうした変化を背景に、不確実性な未来に立ち向かえるタフなパーソナリティ と実践知、そして生きる力を身につけた人材を社会に送り出したいと、改組に 踏み切りました。学部を「総合社会学部」に改め、3学科の相乗効果を高める ために土台となる「基盤教養教育」を強化していきます。

Q.鎮西学院大学の未来の学生のみなさんに、 未来を生き抜くためにどんな力を身につけてほしいですか?

A.今後、10年いやそれ以上のタイムスパンで予測不可能な出来事や事件が連 発し、私たちはそれが常態化した時代を生きることになると思います。その時 に必要なことは、何が本当に必要なことなのか、逆に何がそうでないのか、そ れを見極める力です。その力がしっかりと身についていれば、今後これまでと は違った新たな豊かさを手繰り寄せることができるでしょう。

学校法人鎮西学院 学院長
鎮西学院大学 学長
カン サンジュン
姜 尚中
1950年、熊本県熊本市に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。国際基督教大学助教授・準教授、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授、聖学院大学学長などを経て、現在東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍。2015年、鎮西学院教育顧問に就任。2018年、鎮西学院学院長に就任。2021年、鎮西学院大学学長に就任。